ベーシックインカムとか負の所得税とか

 
ベーシックインカムの世界】
http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20090211
 
円熟した社会においては全ての人間に労働の義務を持たせる必要はなく、その動機と能力を持つ者のみが自発的に働くことになる……というのはマイナーながらわりと前からある考え方で、上エントリ内にあるベーシックインカムの他にも「負の所得税」のような形で以前から提唱されている。
 
昨今の失業対策が「労働の体裁を整える」に特化している辺りを見ても、単純な経済理論としてはそれほど問題なさそうに見える。
共産主義の発展系などと揶揄されてはいるものの、実際共産主義が生き残れなかった最大の理由はその生産力の乏しさゆえであったわけだから、「今ならばうまく実現できるかも」という夢を、まったく根拠がないと言って蹴り飛ばすことはできないだろう。
 
が、やはり、「労働は義務」という前提を覆すという一点がもたらす様々な変化とそれにともなうトラブルがあまりにリスキーすぎる。
そんな制度が施行されたら、倫理的・感情的に、色んな人が大パニックになるのは確実。そして本来この制度を支える柱であるはずの健全な納税者たちが、おそらくはそれまでとはまるで違う働き方を始めることだろう。
そんな分かりやすいもののみではなく、対応しきれないほど大量の不安要素を抱えた考え方であることには間違いない。やはりこれまでに成功ケースが積まれてきておらず、のみならずそのヴィジョンも作りづらいことが痛い。どうしても現実的な政策に発展しうるとは思えないのだ。
 
良くも悪くも先進的な考え方だとは思うのだけど。